PRESSRELEASE プレスリリース

第23080号

次世代防音材として期待される音響メタマテリアル市場を調査
―2035年予測―
■音響メタマテリアルの国内市場  561億円
オフィスや建築現場での騒音対策需要、EVの車内静音化需要を獲得して拡大

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、近年、軽量・薄型の材料で騒音を防ぐことが自動車や建築の分野で求められる中、既存の材料では困難な防音を可能にすることが期待され、量産技術の確立や成形性の向上に向け技術開発が進む音響メタマテリアル市場を調査した。その結果を「音響メタマテリアルの将来展望とポテンシャル調査」にまとめた。

この調査として、今後普及が期待される音響メタマテリアルの最新動向や課題、有望用途について調査し、将来を展望した。活用分野は、自動車、家電、建築、航空・宇宙、医療機器・その他の5つに分類し、市場動向や音響メタマテリアルの適用部位、価格動向、ユーザーニーズなどについてまとめた。

◆調査結果の概要

●音響メタマテリアルの国内市場

メタマテリアルは、光の屈折や反射制御などの点で自然界に存在する物質にはない特性を持つ人工物質であり、音響メタマテリアルは、メタマテリアルを音波の伝播制御に適用している。従来の吸音材、遮音材、制振材の代替を視野に開発が進められている製品を対象とし、従来から用いられている製品(ヘルムホルツレゾネータなど)は対象外とする。

近年、自動車や建築など様々な分野で低周波数帯から中周波数帯の騒音を防ぐことが求められているが、既存の防音材では遮音性に限界があることや、防音材を増やすと重量が増加し、自動車の燃費に影響したり、建築物の柱や梁の強度を増す必要が出ることなどが課題であり、最適な材料が見つけにくい状況にあった。そこで、質量則や材料特性を上回る防音性能を発揮する音響メタマテリアルへの注目度が高まっている。

2022年からオフィスの吸音パネルとエアコンの室外機向け遮音材として実用が始まり、2023年の市場は17億円が見込まれる。2023年時点では既にエアコン向けで市場が立ち上がっている家電が主体であるが、今後は建築が市場をけん引し、2035年時点では建築が主体になると予想される。また、自動車では電動化の流れによりロードノイズなどの騒音問題が顕在化しているため、ニーズが高まっているが、スペックや環境試験が厳しく、現時点ではサンプル評価やコンセプトカーへの搭載に留まっている。今後は高級EV向けで実用化が始まると予想されEVでの採用が徐々に広がるとみられる。その後は航空・宇宙や医療機器で採用が始まり、2035年の市場は561億円に上ると予測される。

◆注目市場

●建築(オフィス、工事、工場含む)

2023年見込

2035年予測

2023年見込比

3億円

434億円

144.7倍

2023年時点ではオフィス向けの吸音パネルに用いられ、その他に天井や壁、床、パーティションなどへの採用や採用検討が進んでいる。オフィスではWEBミーティングやフリーアドレスの増加により音漏れや室内反響音対策の必要性が増している。北米ではオフィスビルの快適性を表す指標の一つに騒音があるため、有望な人材の確保に向けて騒音対策にコストを掛ける企業も多く、大幅な需要増加が予想される。

日本では天井開口率70%以下の場合、消防法により排煙装置やスプリンクラーを設置する必要が生じるため開口部を設けるオフィスが多く、開口部からの音漏れが問題となっていることから、音響メタマテリアル採用のニーズがある。

2020年代半ば以降は集合住宅の床振動遮断や工事現場の防音パネル、工場の機械や排熱ファンによる騒音対策、サーバールームの騒音対策としても需要増加が期待され、2035年の市場は434億円と予測される。

◆調査対象

対象品目

・音響メタマテリアル

活用分野

・自動車

・航空・宇宙

・家電

・医療機器、その他

・建築(オフィス、工事、工場含む)

 


2023/07/12
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