PRESSRELEASE プレスリリース
●リチウムイオン二次電池 48兆8,405億円(2.6倍)
自動車の電動化やESS向けを中心に、引き続き市場拡大をけん引
●レドックスフロー電池 1兆6,252億円(35.8倍)
2030年以降、バナジウム系資源が豊富な中国や豪州で大型ESS向けの伸びが期待される
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、再生可能エネルギーや電動車の普及に伴って注目が集まるリチウムイオン電池やレドックスフロー電池などの二次電池と、耐熱性や安全性などの特性を生かしスマートメーター、医療機器、通信や測定に関する車載機器など新たに用途を拡充する一次電池の世界市場を調査した。その結果を「2025 電池関連市場実態総調査」にまとめた。
この調査では、主要な一次電池、二次電池を対象に、電池の世界市場の現状を明らかにし、将来を展望した。また、リチウムイオン二次電池材料12品目についても市場を捉えた。
◆注目市場
●リチウムイオン二次電池(LiB)

市場は電動車とESS向けといった大型用途で伸び、2024年に前年比8.9%増が見込まれる。特に、電動車向けは、日本でEVの新型モデル発売が限定的になることや欧州でEV向け補助金縮小の影響が懸念されたものの、中国ではEVの低価格化による販売増加を背景に需要が高まっている。一方、小型民生機器や電動工具、園芸工具などを対象とする小型用途ではスマートフォン市場などが回復に向かったものの、PCや家電需要の低迷、中国系セルメーカーの供給過剰により小型LiBの価格が減少していることから、苦戦している。
中長期的にも大型用途が市場拡大をけん引する。欧州や中国、日本などは、2035年以降、新車の電動化を掲げており、需要の増加が予想される。また、再生可能エネルギーの導入が進んでおり、調整力として需要が増えるESS向けが伸びるとみられるため、2040年の市場は2023年比2.6倍が予測される。小型用途では、電動工具・園芸工具や電動アシスト自転車で円筒型、ウェアラブルデバイスでラミネート型の採用が増加し、市場拡大に貢献するとみられる。
●レドックスフロー電池

活物質にバナジウムを用いるバナジウム系が中心であるが、鉄や臭素、亜鉛などを用いるシステムもみられる。長寿命や大容量、周期変動への耐性などの特徴があり、主に再生可能エネルギー発電所などに併設される大型ESSで使われる。
2024年は業務・産業用や電力系統、再生可能エネルギー発電所などでの使用が増加し、市場は前年比5.4倍が見込まれる。特に、中国での使用増加が市場拡大をけん引しており、長時間にわたってエネルギーを貯蓄できるLDES(Long Duration Energy Storage)において、バナジウム系をはじめとするレドックスフロー電池の採用が増加している。また、北米や豪州、日本でも導入が進んでいる。
中長期的には、短周期的な再エネ出力抑制などはLiBで対応し、計画的な長時間充放電をレドックスフロー電池で対応するなど、使い分けが進むことで普及すると予想される。特に、2030年以降、バナジウム系資源が豊富な中国や豪州で大型ESS向けの伸びが期待される。また、バナジウム系以外のレドックスフロー電池も、米国や欧州メーカーの開発・実証によって製品化が進み、2040年の市場は2023年比35.8倍の1兆6,252億円が予測される。
●コイン型二酸化マンガンリチウム電池(コイン型CR)

高エネルギー密度や小型軽量、高い耐環境性、低い自己放電率といった特徴がある。
ゲーム機やPCなどで時間を計測し記録するRTC(リアルタイムクロック)で使用されてきたが、現在は、TPMS(タイヤ空気圧監視システム)やキーレスエントリー向けが増加している。また、IoT関連ではRFID(Radio Frequency Identification)タグや小型センサー向けが増えており、市場は拡大している。
中長期的には、TPMSやキーレスエントリー向けが引き続き伸長し、市場拡大が予想される。また、高い耐久性により信頼性が要求されるCGM(持続血糖モニタリング)などの医療機器でも普及し始めており、今後さらに伸長するとみられる。
◆調査結果の概要
■電池の世界市場

2024年の市場は28兆1,553億円が見込まれる。電池全体の95%を占める二次電池の伸長をけん引するのは、長寿命・高エネルギー密度を生かしEV向けが好調な大型用途のLiBである。長寿命であることや充放電特性に優れることなどを背景にESS向けでも好調である。また、レドックスフロー電池も大きく伸びている。一次電池は、人口増加や新興国における所得向上、都市化を背景に電子機器や家電製品の需要が高まっているため、アルカリマンガン乾電池が堅調に推移している。
2025年以降もEV化や再生可能エネルギーの利用増加に伴うESSの普及などにより、LiBが伸び、市場拡大に貢献するとみられる。また、長寿命や大規模化対応、周期変動への耐性といった特徴を生かし調整力などの役割で、レドックスフロー電池やNAS電池が大幅に伸長すると予想される。一次電池では、IoT化を背景とする電力・ガス・水道のスマートメーターや計測機器の普及とともに、使用される塩化チオニルリチウム電池などが伸びるとみられる。
◆調査対象
一次電池・乾電池(アルカリマンガン乾電池・アルカリボタン電池・マンガン乾電池)
・酸化銀電池
・塩化チオニルリチウム電池
・二酸化マンガンリチウム電池(CR)(コイン型・円筒型)
・空気亜鉛電池
二次電池
・リチウムイオン二次電池(LiB)(大型用途/小型用途)
・リチウム二次電池:コイン
・鉛蓄電池
・ニッケル水素電池(NiMH)(大型用途、小型用途/ニカド電池(NiCd))
・レドックスフロー電池/NAS電池
リチウムイオン二次電池材料
・正極活物質
・負極活物質
・電解液
・正極バインダー
・負極バインダー
・導電助剤
・セパレーター
・正極集電体
・負極集電体
・セル筐体:円筒
・セル筐体:角形
・セル筐体:ラミネート
